2004年 なにわ人形芝居フェスティバル 全国脚本公募 選評

大賞 「ゆうれいスイカ」

 墓場でつかまえたヒトダマを種にしてスイカになる。そしてユウレイが生まれる。なんとも愉快痛快な発想で、人形作りや舞台製作等が楽しめる作品になると思う。物語もしっかり書かれていて、納得できた。ただ、少しセリフのやりとりが饒舌すぎるので、人形による表現を生かしたセリフであってほしい。(東口次登)

 まずタイトルになっている「ゆうれいスイカ」という設定が面白い。さらに、その作り方、なぜそんなものが人気があるのか、そして名人の作ったゆうれいスイカをいったい何に使うのか。ナンセンスな出発点から物語への展開のさせかたに無理がなく、かつ、意表をついている。(北野勇作)

 人魂を補注網で捕まえる?とらえた人魂を干して畑に植えたら、あら不思議、立派なスイカがなりました。そのスイカを切ってみると、中から可愛いゆうれい(!)が・・・というアイデアが出色。冒頭からどんどん引き込まれました。スイカ売りの掛け声にも、客の反応にもリズムがあって、次の夏にはぜひうちにもひとつ、欲しくなるはず。できそこないのゆうれいという展開もちゃんとあって、文句ナシの受賞です。(光山明美)
 

優秀賞 「へにゃほにゃふにゃりほにょもろろ」

 どんな人形を想像するかで、すべてが決まってしまうくらいの作品だろう。リアルなセリフじゃない擬音によって表現することは、幼児にとってもっとも親近感があり、幼児の生活の中で大事な世界、思う存分表現してほしい。人形芝居は観る人の想像力にかかっているので、セリフは擬音でも、リアルな人形操作が要求される難しい作品でもある。が、幼児的な遊び心いっぱいの、ものすごく楽しいものが出来るだろうと期待している。(東口次登)

 擬音だけでさまざまなものや心の動きを表現することで、ひとつの世界を構築するという試みは、「なぜ人間ではなくて人形が演じるのか」というひとつの回答にもなっており、表現としての大きな可能性を感じる。(北野勇作)

 「ゆうれいスイカ」と最後まで大賞を争った、人形と舞台装置がいのちの、実に人形劇らしい作品。飛ばされたボーシが三日月にひっかかり、それを取り戻すまでの短い話ですが、へにゃ?ほにゃ?ふにゃ〜・・・と3人の主人公が発する表情豊かな声としぐさが実にていねいに書き込まれています。さてどんな人形とボーシ、そして三日月や木が現れるか、楽しみです。(光山明美)

優秀賞 「おか釣り」

 これだけ犯罪が多い現代社会だと、ほんとに他人を信用できないものだということを素直にわからせてくれるし、登場人物たちの不信感や不安感というものがよく掛けていておもしろく読めた。その上、もっともっと物語が膨らみそうな可能性を持っている。ただ、人形が動くということがあまり想像しにくい世界なので、意図的な演出効果も書き込まれた脚本であってほしいなぁと思えた。(人形で人間の心の中や裏を表現するのはとっても難しいが、とってもやりがいのある世界、演出の力がものすごくいるので、是非書いてほしい。)(東口次登)

 大人の人形劇とでも言うべきシニカルな作品。主人公を様々な人々とのやりとりは、それぞれにおもしろい。舞台になっている「魚の住めない川」に象徴されるように、その内容はやりきれないものだが、全体をユーモアが貫いており、それが奇妙な笑いを作り出している。(北野勇作)

 魚のいない川で釣り糸をたれるおじさん、ちょっと悪趣味で、いい。興味津々で寄って来ては勝手にあやしみ、お金を巻き上げ、詮索する人々はある意味、社会の縮図ですが、この卑屈にならず、迎合もせず、でも一応意見は言うおじさんらしからぬおじさんもまた、そんな社会の一員で・・・。簡単そうで難しい脱力系おじさん、ぜひとも舞台で見てみたい。(光山明美)

審査員特別賞 「二匹と一匹とおばあさん」

 昔話か創作童話で読んだものによく似た話だが、シンプルで人形芝居になりやすいと思う。おばあさんの家の中が装置も含めてとても暖かく創れたら、独特の世界ができあがると思う。この話はメルヘンとして、あまり車や、神様など登場しない、純粋な登場人物たちのキャラクターだけで表現できる世界の方がいい作品に仕上がると思う。(東口次登)

審査員特別賞 「食いしん坊地蔵」

なくなったおにぎりをめぐる家族のやりとりが面白く、素直に笑える。なんでもないようなことが丁寧におもしろく描かれている点がかえって新鮮だった。(北野勇作)

審査員特別賞 「モダン缶カン」

静かに、ゆっくりとラストに向かう純文学風のテンポがこの物語にぴったり。文章のうまさに惹かれました。人形劇にありがちなハッピーエンドにしようがない展開はこのままでじゅうぶん短編小説になりそうですが、モノトーンの小さな舞台や、影絵、クラフトワークの人形などで舞台化すれば大人っぽいクールな人形劇になるかも、と思いました。(光山明美)

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