2003年 なにわ人形芝居フェスティバル 全国脚本公募 選評
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優秀賞 「三匹のモグラ」 時代劇の武士たちの振る舞いは結構生々しく閉口してしまいがちだか、それをライオンやサル、トラ等で表現されているので、穏和された見やすい舞台になるだろう。ただ、人間でやる芝居をそのまま置き換えてるだけだから、人形の世界の面白さに欠けてるように思う。モグラが穴を掘るシーンや、穴そのものの世界を視覚的脚本に描かれてほしかった。(東口次登) オーソドックスな展開ではあるが、ドラマとしての完成度が高く、観る者を結末に向けて引っ張って行く力が強い。ここに出てくる葛藤は大人子供に限らず切実なものだろうと思う。そのラストに救いがある点もいい。(北野勇作) 上意下達の武家社会の忠誠心と友情の板挟みという普遍的なテーマがしっかりとした構成力と、シリアスなタッチで描かれていて、短編小説としても読ませる作品。人間だとなまなましくなりすぎるキャラクターを動物にすることで表現に広がりと柔らかさが出せたと思いますが。城主は人間でもいいような気もします。実際の動き以上に心の動きが中心の物語なので、演出が楽しみです。(光山明美) |
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優秀賞 「オンボロボット」 オオカミとロボットの美しくそしていい加減な掛け合いで進んでいく脚本。でも空を飛ぶという目的で物語が完結してるので納得させられた。意外性のある作品になるだろう。ただ、なぜオオカミなのかキツネやブタでもいいような。オオカミという登場人物の必然性が描かれて欲しい。つまり人形芝居の登場人物は必然性がなければ、本編とは別の意味を持つ場合があるから。(東口次登) なによりもまずこの作品の持っている風景にひかれた。誰もいない丘とそこから見渡せる空に浮かぶ飛行船、そこにぼんやりと立っている古ぼけたロボット。牧歌的とも物悲しいともとれる静かな世界に現れるのが、オオカミ(一匹狼)と無人工場にたったひとりいる人間の工場長というのもおもしろい。(北野勇作) 飛行船工場の最古参おんぼろロボットの憧れは、仲間のような飛行船になること。偶然出会った調子のいいオオカミと漫才のようなやりとりの末、オオカミの口添えで工場長が飛行船に改造するのだか、望みをかなえて友情を失う教訓話でないところよかった。ただもう少しふたりの友情を感じさせるエピソードがもう少しあれば、エンディングのせつなさが生きてくると思います。(光山明美) |
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優秀賞 「ヒントは茶色」 クリスマスを舞台にファンタジックで、風刺のきいた作品。サンタのメッセージを運ぶニワトリ、母親達の会話、トナカイの自転車等、興味のもてるサービスが盛り込まれており楽しく読めた。ただサンタとこの町の人はどんな世界でつながっているのだろう、現実の世界なのか、ファンタジーの世界か、メルヘンの世界か・・・そこにこの脚本の舞台化が潜んでいると思うので・・・背景の描写が欲しかった。茶色い雪は、実際舞台で降ってくるとあまり美しくないだろうなぁ・・・私は、別の色の方がいいかなと思う。(東口次登) 物語の持っている謎と、それをとく解くという行動目的がはっきりしているため、主婦たちの会話のおかしさや子供たちの右往左往を混乱なく楽しむことができる。紛失した手がかりをひとつずつ見つけていくというミステリ的な趣向もうまくいっている。(北野勇作) オチはわりと早い段階にわかるものの、サンタクロースが子どもたち一人ひとりに欲しいものを配るのではなく、サンタクロースの手紙を受け取った子どもが町じゅうの子どもにひとつの贈り物をするという発想がおもしろくて、あたたかい。どこの子どもがプレゼンテーターになったか興味津々の主婦たちの会話はリアルで、当日の騒動とともに浮かぶようでした。(光山明美) |
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審査員特別賞 「箱の中の夜」 この物語の進行そのものには不満があるが、ただのおもちゃとしての人形と、おもちゃになる以前から、つまり人形そのものとしての過去をもつ人形の世界が表現されていて面白かった。黒子によって命を吹き込まれる人形と、黒子以前から命を持ってた人形とのコントラストがうまく描ければ、人形の呪術性みたいな世界が表現できるかなと期待した。(東口次登) 人間の相手をする人形の物語は応募作のなかに毎年必ず数本入ってますが、特殊な能力を持つ人形とそうでない人形が、病気の子どもたちのために力をあわせ、人形仲間の許せないやつから守ろうとする運びがおもしろい。舞台には登場しない子どもたちの可愛らしさが目に浮かぶようでした。(光山明美) |
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審査員特別賞 「恐竜復活」 ストーリーにはかなり無理があるし疑問点もたくさんあるのだか、それでもこの強引な展開と、切実なのに妙にとぼけた会話は個人的には捨てがたく、審査員特別賞に推させてもらった。(北野勇作) 会社が潰れ、妻に離婚された男が小型恐竜を復活させて一発当てようともくろむ博士の助手になり、元妻よりも若い博士の娘に慕われるという展開はまさに中年男の妄想。夢があるのか、ないのか、スケールが大きいのか、小さいのかよく分からない話ですが能天気なセリフ運びとノーベル賞という旬ネタに魅かれました。(光山明美) |